防災テック・気候テック スタートアップカンファレンス

INTERVIEW

スタートアップが語る防災テック・気候テック

RainTech株式会社

「デジタル防災」を社会実装したい

代表取締役 藤井 聡史
raintech
代表取締役 藤井 聡史

「防災テック・気候テックスタートアップカンファレンス2023」に参画いただいたRainTech株式会社<https://raintech.jp/>。代表取締役の藤井 聡史氏に、防災業界や自社で提供するサービスや取り組みなどについてお伺いしました。

テクノロジーによるアップデートが迫られている

御社が考える「防災」業界について教えてください。

気候変動などの影響もあり、自然災害は増加・激甚化傾向にあります。一方で、特に地方などは人手不足や高齢化などの影響もあり、テクノロジーの活用が十分に進んでいるとはいえません。
安心安全に暮らせる社会・まちづくりのためにも、新しい技術の活用への関心が非常に高まっていると感じています。

御社の創業のきっかけを教えてください。

きっかけは2021年7月に静岡県熱海市で発生した伊豆山土石流災害です。
30名弱の方がお亡くなりになりました。当時、自分の子供が生まれたばかりだったこともあり、社会問題への関心が自分の中で高まっていた時期でした。
震災の詳細を調べてみると、土石流に気づけておらず、レベル5の避難指示が出ていなかったことを知りました。誰が悪いという話ではないのですが、当時、エンジニアをしていたこともあり、「自身の経験や技術で自然災害の予測などをアップデートできるのではないか」と思い起業しました。

「デジタル防災」を社会実装したい

具体的な取り組みについて教えてください。

弊社では2つの事業を行っています。
1つめはパーソナル防災情報インフラ事業。
自然災害の誘因となる災害予兆について高精度なデータの収集を行い、判断に必要な防災情報を提供しています。事例としては、愛媛県、愛知県などとの実証実験。天気が変わりやすい山間部では気象庁の雨雲レーダーがあてにならないことも多々あります。現地で雨量を測定し、スマホアプリに通知することで、実際の状況に即した判断をすることを可能にする取り組みを行っています。

2つめは、デジタル防災教育事業。
簡単な操作で自分のまちの防災・防犯情報を追加できる「デジ防マップ(https://raintech.jp/serviceD)」というサービスを提供しています。一部の教育機関にて、アプリを使った防災・防犯の啓蒙授業に活用を検討いただいています。

こだわっているポイントや課題に感じていることはありますか?

防災は浸透させることが非常に重要なので、日々試行錯誤しています。
例えば、高齢者が多い地方でも導入・活用しやすい、見やすい・使いやすいインターフェースをつくることには力を入れています。
また、防災はコストに見られがちなので、防災だけで終わらせるのではなく、地域のつながりや人財育成など様々な価値創出と紐づけてゆきたいです。

「防災テック」「気候テック」という分野を一緒に盛り上げてゆきたい

「防災テック・気候テックスタートアップカンファレンス2023」参加の感想や今後期待することを教えてください

登壇した当日、サイトに5件ほど問い合わせがありました。
登壇後にスタートアップ界隈や防災関連の方々への認知が高まった感覚があります。能登半島地震などもあり防災への関心が高まっているかと思います。「防災テック」「気候テック」という分野を一緒に盛り上げてゆきたいです。特に、他のスタートアップとの共同プロジェクトや情報交換の機会があれば良いと思っています。
また、地域の課題解決に向けた協力体制を築けるような関係性を築くことも目標の一つです。

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RainTech株式会社

気象変動により激甚化・頻発化している異常降雨と水害予兆を、低コストな観測IoTデバイスを用いて正確に捉え、防災行動をとる「いざ」という時を伝える防災テックベンチャーです。地域の災害に関わる勘所に観測デバイスを配置して地域パーソナルな情報を収集し、地域の住民、企業が信頼できる防災情報を届ける「escommu(エスコミュ)」を開発しています。

ホームページ:https://raintech.jp/